豊かな経験を価値ある文字に

日本では自伝を書く人はまれです。大きな業績を残して社会に貢献した人ほど謙虚な方が多く、年齢が来たら立場を譲って身を引かれることが多いようです。だから自分の親がどんな重要な仕事をしていたか、また人助けをしていたかを、お葬式で初めて知ったという話も時々聞きます。

そういう方のお話こそ文字に残しておけないだろうか。議会の議事録や裁判書類の書き起こしを業務とし、文字に残すことの重要性を知る当社が、長年考え続けてきた思いが、「コトバコ」を生みました。

私たちにとって、どうやってその方々から話を聞き出すかが大きな問題でしたが、ベテラン・アナウンサーの橋本登代子さんに相談したところ、快く賛同していただけました。これまでさまざまな方へのインタビューをされてきたご経験から、言葉を残すことの大切さを、すぐにご理解いただけました。

また、限られた時間に十分な内容を聞き出せるかどうかが心配でしたが、相手を信じて無心でお話を聞けば、いつでも期待以上のお話をいただけるという、心強い言葉で勇気づけられてスタートできました。豊かな経験から生まれた言葉が、どれだけまわりの人間を勇気づけるか。コトバコの持つ意義を、はからずも自分たちが最初に知ることになりました。

コトバコを始めました

コトバコは言葉の玉手箱。身近で大切な方や尊敬する方から、プロのインタビュアーがお話をおうかがいし、文字として書き残すサービスです。

当社は昭和46年から、自治体の議会や裁判所、会議・セミナーなどの音声記録の文書化を業務にしてきました。これらはすべて、地域社会や個人の生活を左右する重要な文書であると同時に、関わる人々の想いの証でもあります。私たちはそのことを常に忘れず、正確で信頼性の高い記録文章の作成に努めてきました。

音声データや動画など、現在は言葉を記録する手段が豊富にあります。しかし、語り手と聞き手、筆記者と編集者というように、多くの人間の手を経て残す文書には、時代を超えて受け継がれる力があります。そして、公的な場面だけでなく、ごく普通の家庭の中にも、将来に残すべき大切な言葉があります。それを文字にしてお渡ししたい。言葉の専門家である私たちが、本当にやりたかったのがコトバコです。